私の質問は無視しつつ、ただ笑顔で歩くだけ。人にぶつかりそうになりながらも、華麗に避けていく。けど、何故か待ちゆく人の視線が痛い。
(……そういえばもう木々が見当たらない。)
私は森の中にいたはずなのに。こんな栄えた街に行った覚えはない。少し違和感を覚えた。けれど、この人の行き先のほうが気になった。
(誘拐?殺される?)
物騒なことを考えていると、一軒の家のような建物の裏口の戸を開けた。そして入るや否や、鍵をかけた。
「ごめんなさい!命だけは!」
「……え?」
私が勢いよく謝ると少しの間沈黙が生まれた。少しすると、目の前の人は吹き出した。


