電車に乗るという習慣がないからか、それとも新婚で愛するサチが隣に座って体を預けているからか、窓の外の景色がすべて美しく、コータには何もかもが素敵に見えた。
「綺麗だね」
サチも同じことを考えているのか、窓の外に広がる広い海を見つめて言った。
「あたしね、海のないとこで育ったから、こんなに近くに海を見るの、初めてなんだ。だから、昨夜もコンビニに買い物に行った時、すぐ後ろが海みたいで、なんか怖いような、わくわくするような不思議な感じがしたんだ」
サチの言葉に、コータは笑顔で答えた。
「俺は、小さいとき、母さんに一度海に連れていってもらったことがあるんだ。でも、寒い季節でさ。なんで母さんが海に連れていってくれたのかはわからなかったんだけど。風は冷たいし、寒いし、水は凍りそうに冷たいし。俺、最後は帰りたいって母さんを困らせて、でも、母さんが綺麗な貝を見つけてさ。俺にくれたんだ。桜の花びらみたいな貝と、真っ白な象牙みたいな貝だった。海に行ったのはそれ一回だけだったから、確か、ずっと大切にしまってたけど、どこに行ったかなあ・・・・・・」
「コータのお母さん、きっと素敵な人だったんだね」
羨ましそうに言うサチに、コータは今更ながらに、サチは家族の事を話したがらないなと思った。
「サチ、俺、サチと結婚出来て嬉しかった。でも、その、良かったのかな、サチの家族に挨拶とかしなくてさ・・・・・・」
コータの言葉に、サチは俯くと頭を横に振った。
「あたしのお父さん、もう死んじゃったから。だから、コータがお嬢さんを下さいっていう相手はいないから・・・・・・」
サチの言葉に、コータはそれ以上家族の話題をサチが望んでいない事を悟った。
「なら、仕方ないな。さすがに、天国まで挨拶にはいかれないし」
コータは言うと、愛し気にサチを見つめた。
コータとサチの穏やかな時間は、電車が都心へと近づいていくごとにごった返す人々の波に飲み込まれていった。
「昼間なのに、すごい人だね」
サチは驚きながら言うと、思い思いに過ごす人々を見つめた。
本を読む人、携帯をいじる人、音楽を聴く人、中には飲酒する人も、弁当を食べる人までいた。
「少し、おなか減ったね」
サチの言葉に、コータもコクリと頷いた。
ペンションの朝食は、日頃から粗食な二人でさえ、これで料金を取るのかと言うようなお粗末なものだったので、コータもサチも空腹を感じていた。
「そうだ!」
コータは言うと、荷物の中からコンビニで買っておいたパンを取り出し、二人で分け合って食べた。
とても夕食まで我慢するには足りない量だったので、コータはどこかでお昼を調達しないといけないなと考えた。
☆☆☆
「綺麗だね」
サチも同じことを考えているのか、窓の外に広がる広い海を見つめて言った。
「あたしね、海のないとこで育ったから、こんなに近くに海を見るの、初めてなんだ。だから、昨夜もコンビニに買い物に行った時、すぐ後ろが海みたいで、なんか怖いような、わくわくするような不思議な感じがしたんだ」
サチの言葉に、コータは笑顔で答えた。
「俺は、小さいとき、母さんに一度海に連れていってもらったことがあるんだ。でも、寒い季節でさ。なんで母さんが海に連れていってくれたのかはわからなかったんだけど。風は冷たいし、寒いし、水は凍りそうに冷たいし。俺、最後は帰りたいって母さんを困らせて、でも、母さんが綺麗な貝を見つけてさ。俺にくれたんだ。桜の花びらみたいな貝と、真っ白な象牙みたいな貝だった。海に行ったのはそれ一回だけだったから、確か、ずっと大切にしまってたけど、どこに行ったかなあ・・・・・・」
「コータのお母さん、きっと素敵な人だったんだね」
羨ましそうに言うサチに、コータは今更ながらに、サチは家族の事を話したがらないなと思った。
「サチ、俺、サチと結婚出来て嬉しかった。でも、その、良かったのかな、サチの家族に挨拶とかしなくてさ・・・・・・」
コータの言葉に、サチは俯くと頭を横に振った。
「あたしのお父さん、もう死んじゃったから。だから、コータがお嬢さんを下さいっていう相手はいないから・・・・・・」
サチの言葉に、コータはそれ以上家族の話題をサチが望んでいない事を悟った。
「なら、仕方ないな。さすがに、天国まで挨拶にはいかれないし」
コータは言うと、愛し気にサチを見つめた。
コータとサチの穏やかな時間は、電車が都心へと近づいていくごとにごった返す人々の波に飲み込まれていった。
「昼間なのに、すごい人だね」
サチは驚きながら言うと、思い思いに過ごす人々を見つめた。
本を読む人、携帯をいじる人、音楽を聴く人、中には飲酒する人も、弁当を食べる人までいた。
「少し、おなか減ったね」
サチの言葉に、コータもコクリと頷いた。
ペンションの朝食は、日頃から粗食な二人でさえ、これで料金を取るのかと言うようなお粗末なものだったので、コータもサチも空腹を感じていた。
「そうだ!」
コータは言うと、荷物の中からコンビニで買っておいたパンを取り出し、二人で分け合って食べた。
とても夕食まで我慢するには足りない量だったので、コータはどこかでお昼を調達しないといけないなと考えた。
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