目を閉じると、当時の会話が鮮やかに思い出された。


〝ほんとにごめん…相澤…〟

〝………〟

〝もう二度とこんなことしないから、お願いだから許して…〟

〝………〟

〝相澤はわたしの大切な友達だから、このまま話せなくなるのは嫌なの…お願い…〟

〝……おい、泣くなよ、天野。分かったから〟


当時のやりとりを反芻してはっとする。

そうだ。相澤が私にとって〝大切な友達〟だということに、この事件がきっかけで気づいて、それから仲が深まったんだった。

相澤はそのとき、見たことがないほど悲しそうな顔で笑っていた。

その笑顔の意味は分からないまま、今でもハッキリと記憶に残っている。


「……明日、相澤にちゃんと謝ろう」

そう、ひとりごちる。


ふと空腹感を感じて、何か食べたいと思ったけれど、既に夜の11時を回っていた。

空腹を我慢し、部屋の電気を消して目を閉じると、あっという間に深い眠りに落ちていったのだった。