涙に逢うまでさようなら

瑠璃紺色のプルオーバーに着替え、下は近くにあった色の薄いジーンズを合わせて、音楽プレーヤーと清涼菓子、携帯と鍵を持って家を出た。

元気な蝉の声が響く中、熱風が前髪を揺らす。

イヤホンを装着し、プルオーバーのフードを被った。

筒のようになっているポケットの中でプレーヤーを操作し、音楽を再生する。

清涼菓子の容器を握った手をポケットから出し、振った容器から出てきた数粒の清涼菓子を口へ放る。


自分の歩みに合わせて視界の真ん中を動く、元は白色だった薄汚れたスニーカーを眺める。

ふと、この靴を買ったのはいつだっただろうと考えた。

中学校入学に備えて、小学校卒業後、家族とともに探し回ったものだった。

大きさや履き心地、僅かなデザインの違いなども考えた末に購入してもらったものだ。

その頃はまだ、中学校へも行ってみれば学校へ行く意味が見つかるかもしれないという考えが頭の片隅にあった。

しかしそれは日に日に薄れ、春休みが明ける頃には跡形もなく消え去った。