涙に逢うまでさようなら

「あれから体調はいかが?」

大翔の部屋に入り、ドアを閉めながら問うた。

「図書館にいたときより落ち着いたかな」

ベッドの上で片脚を立て、腹部との間に腕を入れるという体勢で言う大翔に、

紛らわしい体勢をしやがるなと思いながら「それはよかった」と返した。

「昨日はそれが気になってなかなか眠れなかったからね」と言いながら、六十センチメートルほど離れた位置に彼と向かい合うように座る。

「嘘だったんでしょ?」と言う大翔に小さく笑い、「ところで」と話を持ち出した。

「しばらくテンションおかしかったけど、いつから痛いの?」

彼は「ああ……」と呟き目を逸らした。

「一週間くらい前から……かな?」

「いや訊かれてもわからないけれども」

わたしはため息をついた。

「つうか、なんでそんなに我慢するのさ。結局こうやって休むことになるんだから、悪化する前に休んだ方がよかったんじゃないの? その方が休む期間も短く済んだだろうし」

わたしが言うと、大翔は「ごめん」と呟いた。

ああ、と声を出し、こちらを見る。

「もし勉強したかったら、してていいよ。美紗まで巻き込むようなことじゃないし……」

「ああ、うっぜうっぜ」

わたしは虫を払うように手を動かした。

「死にそうなときは人の存在が恋しくなるだとかなんだとか言ってた人間ほっぽって勉強なんか進められるかよ。

それに、わたしは別にいつの試験を受けても構わない身なの。最悪、専門学校なんて行かなくてもいいし。なにせ自力で資格集めていこうと思ってたくらいだからね」

言ったあと、そもそもわたし勉強嫌いだしと付け加えた。