涙に逢うまでさようなら

「別に怒らないよ。 嘘だが、昨夜は君の体調が気になってなかなか眠れなかったのだ。無事を確認できてよかったよ」と返信すると、

「嘘かい。最初に嘘だって書いてあるのにちょっと喜んじゃったよ。 今から来てくれない?」と返ってきた。

「気が向いたらね」と返信し、画面を切った携帯をスウェットのポケットに入れ、部屋を出た。


服屋の七十五周年パーカーに目に入ったジーンズに合わせ、相原家前へきた。

フードを脱いでイヤホンを外し、相原家を見上げる。

屋根にとまっていた小さな鳥が羽ばたいていった。

左側のポケットから携帯を取り出し、大翔へ「美紗様がお見えになりました」とふざけた文字を送信する。

間もなく玄関のドアが開けられた。

そこから、紫式部地に白い字で縦に「葡萄」と書かれた半袖のティーシャツに茶色のスウェットという姿の大翔が現れる。

「部屋着独特だな」と笑うと、大翔は恥ずかしそうに笑い、「来て」と手招きした。