涙に逢うまでさようなら

「意思が弱く頭は固い、おまけに視野も狭い。それに対して美紗は、自分に一番合った這い上がる方法を知ってる。

もし一度で見つけたわけじゃないとしても、最終的にはそれを見つけられるほどの広い視野を持ってる。

さらに、その自分に合った這い上がる方法を、誰になにを言われようと貫く意志の強さも持ってる」

美紗と俺は根本的な部分が違うんだ、と続けた大翔に、つい噴き出してしまった。

「わたしもそう思ってた。大翔は真面目で意思が強い。それに対し自分には、真面目のまの字もなく、意思も弱いって」

わたしが言うと、大翔は笑顔を見せた。

「なんなんだろうね、これ。お互い自分は意志が弱いと思ってるのに、相手に映る頃には意志の強い人間になってる」

不思議だねと続けると、大翔は笑顔のまま頷いた。


「兄の言うこともさ、気にしなくていいと思うよ? そんな、胃だか腸だか知らないけど、痛むほどのストレスに変換しなくていいと思う。

いっぺん壊したものを戻すことが不可能に近いことも、可能だとしても相当な時間や苦労を要することも、わたしたちゃ知ってる。少なくとも、今のわたしたちは。

それに、わたしたち本人でさえどうなるかわかんない将来を、他人が的確に言い当てることなんて不可能なんだから」

わたし言い終えると、「なっ」と笑顔を見せた。

大翔は、「やっぱり美紗はかっこいいや」と言ってくれた。

「嬉しいこと言ってくれるけど、なにも出やしないよ」と笑い返す。