涙に逢うまでさようなら

食事を済ませると、わたしは教科書を探し始めた。

いい加減まともになろうと思った。

勉強をする意欲が湧いてきたわけではないが、自分の教科書くらい使おうと思った。


彼は教科書について、実際は持ってきたらしいが先生が送り付けてきたと言っていた。

大翔とは、あれだけ家が近ければ同じ中学校だったはずだ。

三年間で何度同じクラスになったかはわからないが、同じ中学校に集った教師たちは皆同じような考えを持っているはずだ。

となれば、家族が処分していないことが前提だが、ここにも彼らが持ってきた教科書があるはずなのだ。


「ああ……」

わたしはため息を続けた。

一日のうちで家族が家にいる時間はほとんど部屋にいたわたしがそういった記憶がないのだから、この部屋に教科書があるわけがないのだ。

あるとすれば、一階の物置だ。

わたしは再びため息をついた。

あの物置は、泥棒さんでさえそこまで荒らさないぞというほどにまとまりがない。

どこに誰のなにがあるかわからない。

自分のものが多くあるからといってそこが自分のものの場所であるとは限らないのだ。