涙に逢うまでさようなら

五分間、水色の砂が落ちていくのを眺め、蓋を外れるぎりぎりまで開けた。

テーブルの下にある割り箸の袋から割り箸を一膳取り、片方を歯で挟んで割る。


適当に全体を混ぜ、一口すすって昼間のことを思い出した。

大翔は今頃なにをしているのだろうか。

昼間の様子から、彼には前日の夜遅くまで勉強をしていたために疲れが溜まっているのだろうとわたしは考えた。

今も勉強をしているのだろうかと考えた。

なぜあそこまで頑張れるのだろうかとも思う。

わたしも確かに家族を見返したい気はあるが、彼らを見返すために高認を受けて専門学校を出る必要があるとは思えない。

大翔とは見返す形が違うからだろうか。

わたしにとって家族を見返すことは何らかの形で成功することであるのに対し、

彼の場合は恐らく、兄よりいい大学を出て兄よりいいところに就職することだ。

学歴が全てじゃないのに、と思いながら食事を再開した。