涙に逢うまでさようなら

イヤホンを装着し、音楽を再生するついでに時間を確認した。

十七時八分。図書館を出る前に確認したときとほとんど変わっていない。

日没の遠い青い空の下、自分の影を追う。


白線を辿りながら自分の影を追い続け、ふと一昨日の大翔の言葉を思い出した。

兄以上の大学に行く――。

語った彼の目に、深い執念のようなものを感じた。

大翔は、兄以上の大学へ行くことを大きく捉えすぎているのではないかと思った。

兄や家族に負けたくない気持ちはわかる。

この辺りにいる十五歳では一番わかるだろう。

しかし、家族を見返すことが負担になってしまっては意味がない。

一瞬、ただ大翔が本気を出しただけなのではないかという考えも浮かんだが、そうでないことは昼間の様子でわかっていた。