涙に逢うまでさようなら

「さすがファンだね」という大翔の言葉を合図に、互いのお気に入りである服屋の話をしながら歩いた。

「あの店では、もう何着も買ってるんだ。パーカーも、それ以外の服も」

大翔の言葉に、「わたしも」と返す。

「無地の服ってなかなかないからね。パーカーはあの店にこだわらなくても結構見かけるけど、ティーシャツはそうでもない」

無地はなにを合わせても許されるから好き、と続けると、大翔は「わかる」と頷いてくれた。

「まあ俺の場合、どうせ下はジーンズしか持ってないから合う合わないもないんだけどね」

苦笑し、「それでもやっぱり無地に惹かれてしまう」と続ける大翔に、「全く同じ神経が通った人間が隣に」と返した。


幼い頃は、柄物や有名なキャラクターの顔がたくさん描かれたティーシャツ、

中央に大きく一つのものが描かれたティーシャツも着ていたが、

今では持っている服のほとんどが無地のものだ。

無地のティーシャツに、無地のパーカーを羽織っている。

わたしが把握している限り、無地でない服はこのパーカーを含め二着のみだ。