涙に逢うまでさようなら

翌日、大翔と同時に図書館に着いた。

昨日の別れ際、これから毎日図書館で勉強をしようと交わした。


公園と図書館がある道へ曲がる前、前方から歩いてくる大翔の姿を見つけた。

フードを脱ぎ、イヤホンを外す。

下は白に近い色にまで薄くなっているグラデーションがかかった京紫色のパーカーのポケットの中で、右手に握っているプレーヤーを操作する。

イヤホンをプレーヤーと同じポケットに押し込んだ。


「おつかれ」と手を振る大翔に同じように返す。

直後、彼は「パーカー同じだ」と笑った。

大翔は、上が白に近い色にまで薄くなっているグラデーションがかかった、孔雀青色のパーカーにジーンズという出で立ちだった。

わたしが、今着ている京紫色のパーカーを買った店の名前を最後に疑問符をつけて言うと、大翔は頷いた。

「あの店お気に入りなんだ」と嬉しそうに続ける。


このパーカーは、わたしも気に入っている服屋が開業七十五周年を記念に発売した限定商品の一つなのだ。

その服屋のイメージがグラデーションで、全ての店舗の外壁や内壁が、それぞれの色にグラデーションがかかったデザインになっている。

店舗によって色や薄くなっていく方向は違うが、どこも最後は白に近い色にまで薄くなっている。

そんな服屋が一昨年、開業から七十五年を迎え、パーカーやスニーカーなど、グラデーションがかかったデザインのいろいろな商品を発売した。

その中のパーカーを、わたしたちは偶然買っていたということだ。