涙に逢うまでさようなら

会話が終わると、大翔はすぐに勉強を再開した。

「……勉強の邪魔をするようで悪いけどさ」

わたしが言うと、大翔は勉強を続けたまま「ん?」と声を返した。

「昨日の大翔と同じようなこと訊くけどさ、大翔は高認受かったらどうするの?」

わたしが言い終えると、大翔はシャーペンを握る手を止めた。

「俺は……」と呟く。

同時に、動きを止められた右手に力が込められたように見えた。

「俺は、兄以上の大学に行く」

大翔は低い声で続けた。

「兄以上、というと? どれだけ差をつけるの?」

少しの沈黙のあと、「つけられるだけ」と低い声が返ってきた。

これ以上邪魔をするのはよろしくないと思い、「そうか」と頷いてシャーペンを握り直した。