「わたしは中卒でどうにかしてやろうと考えていたほど。決して悲観的ではないと思うけど」

「美紗は、高認を受けたらやりたいこととかないの?」

数秒の沈黙のあと、大翔は言った。

「さあ。でもまあ、最安でも一万弱掛けて頂戴する、高卒者と同等の扱いだからね。無駄にはしたくないし、専門学校にでも行くつもりだけど?」

「そっか。どんな学校行くの?」

「ビジネス関係かね。ただ、専門学校を出てしまったらそれなりの学歴ができてしまう」

「短大卒と同等の扱いにもなるからね」という大翔の言葉に、抑える間もなく飛び出した「まじか」という言葉を返す。

大翔は「そうだよ」と笑顔を見せる。

「でまあ、やはり学歴や学力には左右されたくないから、

専門学校卒業までに取得したビジネス関係の資格を、自営業かなにかで活かそうと考えてる」

「そっか。やっぱり、学歴は使わないんだね」

「まあね。なにせ、親二人して大学卒業という学歴を使って今の職に就いてるからね。

兄も大学へ進んだ以上、その学歴を使ってそれなりのところに就職するんだろう。

わたしは彼らと同じにはなりたくないの」

「美紗ちゃん意思強いねえ」

からかうような声色で言う大翔に、「ちゃん付けすんな、気持ち悪すぎ」と返す。