しばらくして公園にきた。

容器を振って出てきた、五粒ほどの清涼菓子を全て口に含む。

イヤホンからは、普段の倍近い音量でダンスミュージックが聞こえてきている。

音漏れの心配もしたが、ここには人などいない。

もしも誰かとすれ違ったところで、道は広い。

離れたところを歩く人間に聞こえるほどの音量ではない。


指図されるのは幼い頃から嫌いだった。

自分のペースを乱されたくないのだ。

アドバイスと称して指図されるのはもっと嫌いだ。

相手にそのような気はないとわかってはいるが、こちらを気にかける優しい者を演じた他人に操られているように思えて腹が立つ。


いや、他人に操られることを嫌っているのではなく、実際は自分が他人に染まってしまうことを恐れているのかもしれない。

それが拗れて、他人になにかを言われることに腹を立てるようになったのかもしれない。

いずれにせよ、今まで一度も他人の意見を取り入れたことはなかった。


この捻くれた性格のせいで、先ほどの大翔からの電話も一方的に切った。