翌日、やかましいバイブの音で目が覚めた。

震え続ける携帯を確認すると、着信を知らせるイラストの下には相原大翔の文字があった。

画面に浮かぶ通話の二文字に触れる前に、壁の時計に目をやる。

針は十時過ぎをさしていた。

舌打ちをしてから通話の二文字に触れ、携帯を耳に持っていく。


「朝っぱらからなんの用?」

寝起きと、睡眠を妨害された苛立ちから、かなり低い声が出た。

「ごめん。寝てたね」

電話越しの大翔は申し訳なさそうに言う。

見透かされているようなその言葉が悔しくて、咄嗟に「別に?」と返した。


「で、なんの用?」

「うん。高認のことなんだけど……やっぱり、一緒に受けない?」

またそのことかと思った。

正座を崩した形で座っていたため、つい右脚を叩いた。

「昨日も言ったよね。わたしは、学歴だの学力だの、そういう曖昧なものに左右されるような小さな世界には生きたくないの」

「生意気なことを言うようだけど、世の中は未だ学歴を求める傾向にある。そんな世の中に、中卒を背負って挑むって言うの?」

わたしは舌打ちをし、髪の毛を掻き乱した。

「お前には関係ねえだろ? お前はわたしのなんなんだよ。血の繋がりさえない他人に、指図などされたくないね」

ひとしきり言葉を並べると、わたしは今回も一方的に通話終了に触れた。

強く唇を噛み、拳で太ももを叩く。