「俺、あれからいろいろ調べたんだ」

「なにを?」

「ある試験を受けようと思って」

「試験……」

「コウニンっていう。正式には、高等学校卒業程度認定試験っていうものなんだけど」

「ああ……」

その試験がどういうものなのかはだいたいわかった。

「高等学校を卒業していない、その年度で十六歳以上になる者っていうのが受験資格で。

それに合格すると、大学や専門学校への入試資格が得られるんだ。

高認を受けて大学や専門学校に行けば、将来の可能性が広がると思うんだ」

やはりそういうものかと思った。

「ふうん……。で? それをわたしも受けろと」

大翔は「いや」と苦笑した。

「別に強制はしないけど……。せっかく出逢えたんだ、一緒に受けたいとは思ってる」

「そう。まあ、精々頑張って。わたしは受けない」

そんな、という悲しげな大翔の声に、「わたしは決めてるの」と返す。

「学歴や学力に左右されるような小さな世界には生きないとね」

少々言い方がきつくなっている自覚がありながら、一方的に通話終了の文字に触れた。