涙に逢うまでさようなら

「じゃあわたしは三歳しか離れてないからそこはちょっと違うけど、扱いは全く同じ」

「美紗もお兄さんいるの?」

「ああ。今年、国立の難関大学に入学した」

「俺と同じだ……」

今年卒業だけど、と大翔は続けた。

「ああ、やっぱ大学行ったんだ」

「それはもう、この辺じゃ一番の」

「ふうん……」

大翔の兄がどこへ行ったかはすぐにわかった。

母親とよく話をしていた頃、彼女の職場の友人の、その子供がその大学へ行ったらしいと聞いた。

その大学は世間の印象もいい学校で、母親の職場では皆でその子供をいい子だの素晴らしいだのと褒めちぎったそうだ。