涙に逢うまでさようなら

大翔と会ってしまったのは、その翌日のことだった。

自動販売機で水を購入していたところ、後ろから声を掛けられた。

大翔は真っ白なプルオーバーを着ていた。

彼と遭遇してしまったのは、鮮やかな赤色という自分らしくない色のプルオーバーを着てしまったせいだろうかと思った。


「この間はどうも」

ベンチに座りながらの言葉に、同じように「どうも」と返す。

「誰もいないような場所でよかったわ」

わたしが言うと、大翔は「えっ?」と声を出した。

「赤いパーカーを着た女と白いパーカーを着た男が並んで座ってたら、なんておめでたいやつなんだと思われるだろう。二人してプルオーバーだし」

「あっ、ああ、ほんとだ」

美紗は着眼点が違うね、と大翔は楽しそうに続けた。