涙に逢うまでさようなら

「親戚、全員知ってるから。わたしが学校行ってないこと。その理由もね。

彼女たちの言う肌が綺麗ねって言葉にも、実際は変な意味が込められてるんでしょうね」

「えっ、学校行ってないとか、親が言ったの……?」

「そう、母親。わたしが学校行かなくなってすぐ。自身の母親、まあわたしから見たら、祖母ね。彼女に電話してた。

『就職とかどう考えてるのかしらねえ』とかなんとか、長々長々喋ってたよ。おかげで親戚は全員敵」

「最悪……。普通言う? 自分の子供のことなんだから、自分の親関係ないじゃん」

わたしは小さく笑った。

「あの女、普通じゃないから。大変なのは、悩んでるのは、頑張ってるのは、常に自分だけ。

自分イコール悲劇のヒロインちゃんっていうのが脳に染み付いてるのよ。

まあ残念なことに、実際他人が見た彼女の像はただの思い込みの激しい人。そういった意味では可哀想でもあるかもね」

「ええ……。俺だったらもう、そんな親の元に生まれたことを後悔するよ」

「大丈夫。わたしも後悔してるから」

大翔の複雑な笑みに、わたしは他人のことなど気にするなという念を込めた笑みを返した。