部屋へくると、天井から垂れる紐を三度引いてオレンジ色の豆電球を点け、ベッドに横たわった。


中学校卒業と同時に、ここ――藤城(ふじしろ)家からわたしの存在は消えた。

家族の視界から消えたためだ。


だから今も鍵を閉められた。

本当に彼らの視界から消えただけのか、彼らになにか魂胆があってのこの形なのかは知らないが、わたしとしてはありがたい。

中学生の頃から願っていたことが実現されたのだ。

ただ同時に、くだらないとも思った。

彼らは、頭はいいが人間として程度が低いのだ。


父親の財布から金を取っていることは誰にもばれていない。

母親はどこか敏感なところがあるから、必ず父親の財布から取っている。

このままずっと放っておかれることを密かに望んでいる。