「どう、作れそう?」

「うん……これくらいなら。えっ、ていうかこんなもんでいいの?」

大翔の返事に、先ほどとは違った意味で顔が熱くなった。

「こんなもんって、君どんなもんまで作れるのよ?」

「いやわかんないけど、こんなの美紗がしてくれてるのと変わんないじゃん」

「君、わたしが人生の宝物として毎日入浴時以外身につけているこれをどういう気で作ったわけ?」

左手首を見せつけて言葉を並べると、大翔の顔に焦りの色が窺えた。

「いやもちろん、美紗らしいデザインと色とって考えて作ったよ? だから、美紗にはその形が一番合うけど、難しさとしては大したものじゃないと言うか……」

「いっちミリも言い訳できてないっつうの。まあいい、そっちがどんな気で作ったか知らないが、

大した難しさでもないこのブレスを、わたしはこれからも宝物として身につけていきますから」

「ちょっと待って。当時の俺にはそれが最上級だったんだって。美紗らしい色と形を集めて、一つになる気配のない二つを自分なりに洒落た形で一つにしたっていう……」

大翔は、「だから当時の俺はかなり真剣に作ったよ?」と、わたしの機嫌をとるように少しかわいく言った。

「君が真面目に作ってくれたことくらいとっくに知ってるわ。で、もう仕事しようよ。こんなつまらないもの作らなくていいから、成長した君の本気を見せて頂戴」

言いながら大翔の手からイラストを奪い、彼の手を引いて表へ出た。