涙に逢うまでさようなら

「あの……」

二人きりになった裏で、大翔が言う。

「ん?」

「俺、何時から何時まで?」

「営業時間が十時から十九時だから、その間かな」

「了解」

「で、あとこれ」

桃色の箱から春用のエプロンを取り出し、振り返る。

もしも一緒に仕事ができたらと思いながら、大翔用に作ったものだ。

「私服に、このエプロンを」

大翔は「はい」とわたしの差し出したエプロンを受け取り、手際よく着用した。

それで、と言ったわたしの声と「あの」という大翔の声が重なり、「なに?」と返す。

「店の名前って、なんでHEROにしたの?」

「大翔、ミサンガのとき言ってたじゃん。ヒロのアイをイーにするか迷ったって。それをそのままもらったの」

「そうなんだ」

そう、と頷き、「それで」と話を持ち出した。

「大翔には商品の製作の方を頼みたいんだけど、なにか案持ってる?」

わたしの問いに、大翔「全然」と首を振った。

それもそうかと思いながら、「おっけー」と頷く。

商品のイラストを入れたトートバッグから手前の五枚ほどを取り出し、それを大翔へ差し出した。

内容は全てブレスレットであるはずだ。

「最初はこんな感じのから作ってもらいたいんだけど……」

大翔はイラストに目を通すと、「誰が描いたの?」と言った。

「わたしが。さっきの、年齢訊いてきた人がデザインしたものが多い」

「絵上手いんだね」という大翔の言葉に顔が熱くなった。