涙に逢うまでさようなら

翌日、大翔を連れて出勤すると、朝礼前の裏がざわついた。

「店長、そなたはどなたです?」

なっちの声を合図に、大翔を「本日より製作と接客を担当していただく相原さんです」と紹介する。

製作と接客と呼んでいるレジ横の作業台での仕事は、今までわたしがやっていた。

これからは人手が必要な場所を担当するつもりだ。


わたしが大翔を紹介した直後、「年齢っていくつなんですかあ?」となっちがつっこんできた。

彼女のその質問は、新人さんが入ってきたときの恒例行事のようなものだ。

「二十六です」

大翔が答える。

「うわっほ、同じじゃん」

視界の端でなっちが目をハート型にした。

飢えてるなと思いつつ、わたしは咳払いをした。


「はい。毎度言うようですが、スタッフ同士の仲より、お客様への対応をいいものにするようお願いします。

同じ気持ちで同じものを目指していれば、スタッフ同士の仲など、自然といいものになります。

それでは本日も、明るくハキハキ誠実に。よろしくお願いします」

柔らかい表情と聞きやすい声を意識して体験が基の言葉を並べ、最後に頭を下げると、

「よろしくお願いします」とスタッフさんから返ってきた。