涙に逢うまでさようなら

携帯が大翔からの受信メールを知らせたのは、四年後のことだった。

雑貨屋HEROの営業時間が十時から十九時に伸び、二号店もできるかできないかというその頃には、わたしもなっちも三十歳近いおばさんとなっていた。


受信したメールの本文には、「相原、留年することなく本日大学院卒業です」と書かれていた。

一昨年、もう卒業だねとメールを送ったところ、入学に二年遅れたからもう二年行ってくる、という少々意味不明な文字が返ってきていた。

本当に卒業するときは連絡頂戴というこちらの言葉への返事が、今届いた。

わたしは大翔に返信する前に、なっちの携帯を呼び出した。

長めのコールのあと、「あいよ」と眠たそうな声が聞こえてきた。

「なっち?」

「そうだよ。え、みさっち?」

「そうみさっち。わたし今日、お店行けない」

「えっ……」

なんでと理由を問う声は、普段の彼女のものだった。

「ちょっと、急用ができたの」

「急用ってなにさ……」

「とにかく、行けないの」

言葉を続けるのに、少し時間を要した。

「大切な人に、会わなきゃいけないから」