涙に逢うまでさようなら

「よし。それでは早速始めていこうか。看板の材料として今あるのは、この木材と、塗料いろいろ、ニスだ」

「看板は? その木のサイズで作るの?」

ちいたんさんが言う。

「いや、別に決めてない。だから切るものも用意してある」

なっちの言葉に、みいぽんさんが「なんでもあるんだね」と返した。

「まあね。なにせ自分の就職先となる場所のためだからね。父上様に頼み込んでいろいろ貸してもらったよ」

「頼み込んでって、ななたんのお父さんめちゃめちゃ優しいじゃん」

なっちに対するちいたんさんの言葉に、少し羨ましいと思ってしまった。

こちらは、父親と最後に言葉を交したのがいつなのかも覚えていない。


「それでね? 春夏秋冬、季節によって看板を変えようと思ってるの」

「えっ、じゃあ四種類の看板を作るってこと?」

ちいたんさんに、なっちは「ノンノンノン」と人差し指を左右に動かした。

「五種類だよ」

「春、夏、秋、冬でしょ? 四種類じゃないの?」

「梅雨があるじゃん。どうせじゃそれっぽいのも欲しくない?」

ちいたんさんは「じゃあ春夏秋冬の言葉出さないでよ」と笑うと、「五種類か……」と考え込んだ。