涙に逢うまでさようなら

静子さんが持って来た、他のハーブベースとフローラルベースの練り香水は、どちらも素晴らしい出来だった。

「やっぱりスイートベースその二がだめだったね」

なっちの言葉に、静子さんは「そうねえ」と素直に頷いた。

星のシールが貼られた蓋を被る容器を手に取る。

「この失敗作が、作ってるときに一番家族にくっさいくっさい言われた。どれも言われたんだけど、これは特に言われた」

「ご家族、多いんですか?」

「両親と、父方の祖父母。きょうだいはいないよ」

「そうなんですか。なんとなく、姉妹がいるイメージでした」

「ああ、それ時々言われる。それほど年の離れてないのがいそうだって」

「ああ、ちょうどわたしのイメージもそんな感じでした。一歳、二歳離れてるか、双子」

「ふうん……。なんなんだろうね、こういうの」

ああそうだ、と静子さんは続けた。

「セブンの家族構成はどう見える?」

「ええっと……。お兄さんいる? 五歳くらい離れた」

わたしが言うと、なっちは「絶対言われると思った」と目元を覆った。

「だよね、そう見えるよね? わたしも高校の頃そうだろうと思ったんだけど――」

「一人っ子だよ。上も下もいない」

「両親とあたしの三人だけのこぢんまりした家族です、って言われた」

なっちの言葉の続きを引き継いだように静子さんが言う。

「じゃあみさっちょはねえ……」

「いいですよ、わたしのことは」

まあそう言わず、と二人は声を重ねた。