涙に逢うまでさようなら

「あたし、二歳下の妹がいるんだけどさ」

「ああ、それで姉御と呼ばれてるんですか?」

「ある意味そうかもしれない」と姉御さんは笑顔を見せた。

「でその妹、いじめに遭って中学校へは二年生に上がってから一度も行ってないの」

「そうなんですか……」

手を動かしながら、姉御さんは「そうなの」と頷く。

くだらない理由から三年間一度も通わなかったわたしとは大違いだと思った。

なんとも言えない気持ちを隠そうと、無意識に止めていた手の動きを再開させた。

「それで、高校はなんとか、在学中に資格を取れる通信制のを卒業して、そこで取得した資格を活かした職に就いたんだけど……」

「そうなんですか。妹さん、強いですね」

「実の姉であるあたしが思っていいのかわからないけど、そう思う」

「いいと思いますよ、お姉さんが妹さんの強さを認めたって。むしろそうした方がいいと思います」

藤城さんは優しいね、と姉御さんは少し悲しげな笑みを浮かべた。

「それで、最終的に就職できたからいいんだけど、妹と藤城さんの年齢がもっと離れてて、この雑貨屋さんが今もっと大きな企業ならよかったなって」

藤城さんが雑貨屋の経営者になった動機を聞いて思っちゃった、と姉御さんは笑顔を付け加えた。

「このお店、絶対成功させようね。あたし……学歴欲しいがために大学行ってる変な人間でね。

別に大学に行きたかったってわけでもないし、学校生活が特別楽しいものってわけでもないのよ。

だから、こういう会社がもっと増えてほしいと、心から思う。

あたしには、理想を形にするっていう考えがなかったもので」

姉御さんの言葉に、わたしは「いつかきっと大きな会社にします」と頷いた。