涙に逢うまでさようなら

「じゃあこんな感じの作って」となっちが八名にそれぞれが担当するもののイラストを配り、作業は始まった。

今回の八名も、礼は要らないと言ってくれた。

優しいその言葉と皆に得はないのにという思いで泣きそうになった。


「藤城さん……だっけ?」

姉御さんの低い声が言う。

ブレスレットの続きを編みながら、「はい」と返す。

「藤城さんはなんで雑貨屋を経営しようと思ったの?」

「それを訊いちゃいます?」

それはそれは長くなりますよ、という言葉に構わないよと返す姉御さんに、学歴社会に対する不満や経営者としてやりたいことを語ると、彼女は「そっかそっか」と頷いた。

「そんな人がもっとたくさんいたらいいのに。世の中や多くの企業に不満を抱き、不満の対象に逆らうような企業を始めるほどの行動力を兼ね備えた人が」

「どうしてです?」

理由を問うと、もう解決したことなんだけどね、と姉御さんは前置きした。

二本のラジオペンチで丸カンを閉じ、完成させた一組のピアスを周りのものから少し離す。