涙に逢うまでさようなら

「美紗さん――」

美紗ちゃんと呼んでいいかと訊かれ、もちろんと返す。

「美紗ちゃんは? 高校つまらなかったの?」

少し悩み、「いえ」と返した。

「特に楽しくもつまらなくもありませんでした」

「そっかあ……。わたしたちは結構楽しかったよ」

言いながら、ここさんもブレスレットを仕上げた。

「ここさんは、高校卒業後はどうしたんですか?」

「美容系の専門学校に行ったよ。今はネイルサロンに務めてる」

そう言うここさんの切りそろえられた爪は、水色に塗られた右手の薬指と左手の人差し指を除く全ての指が白に塗られており、

色の違う薬指と人差し指の根元にはパール調の白い玉が置かれていた。

薬指の方は、先の右端に白で薄く貝殻も描かれていた。

八月というこの季節らしいネイルだと思った。

「素敵なネイルですね」というわたしの言葉にここさんが「ありがとう」と笑うと、

ネックレス担当のマミーさんを挟み右隣にいるりりいさんが「フジシロさん、そっちに水色系のビーズありますか?」と声を掛けてきた。

「直径三ミリ程度がいいです」と付け加える彼女に、青系統でそれくらいの大きさの石やビーズが入った容器を渡した。