涙に逢うまでさようなら

「お礼はどういった形で……」と尋ねると、皆「要らないよ」と声を揃えた。

「それにそんな綺麗な言葉じゃなくていいよ」と静子さんは言ってくれたが、「はい」と答えると「無理みたいだね」と笑われた。


作業を始めると、隣でチェーンと紐を使ったブレスレットを作るここさんが話し掛けてきた。

「フジシロミサってどんな字書くの?」

「ああ。えっと、藤棚の藤に、お城の城でふじしろ、美しいと糸へんに少ないという字でみさです」

わたしもチェーンと紐を使った、デザインの違うブレスレットを作りながら答えた。

「へええ。かっこいいね」

「ここさんは? ここちゃんという呼び名の由来ってなにかあるんですか?」

「わたし、名前ココロっていうの。平仮名でこころ。それで、一時期ここって呼ばれてたんだけど、すぐにちゃんをつけられた」

「そうなんですね。ところで、ななえさんとの付き合いはいつからなんですか?」

「ああ、高校から。静子とあきっちょもそう」

「へええ。ここさんたちのいる高校なんて楽しそうですね」

言いながら、紐の最後を結んだ。