「わたしたち、逢った頃何歳だったっけ?」

わたしは体の後ろに手をつき、天井を見上げて言った。

「十五歳じゃなかった? 中学校卒業してそれほど経ってない頃だったはずだから」

「十五歳かあ……。若かったねえ」

「むしろ幼かったねえ」

大翔も、言いながらわたしと同じような体勢になった。

「わたしたち、もう五年も一緒にいるの?」

「そういうことになるねえ」

「五年って、長いようで短いものだねえ」

「そうだねえ。なにせ一度も相手の顔全体を見ずに過ごせるほどの時間だからね」

わたしは顔を下に向け、前髪に手ぐしを通した。

大翔はいつの間に前を向いていたのか、くすくすと笑う。

「なに。わたしの顔忘れないと……」

その小綺麗な顔をぶっ潰すぞ、といつか自分が言った言葉をそのときの声で続けた。

大翔はさらに笑う。