部屋の様子は過去の二度と変わらないのに、そこに流れる空気がまるで違った。
「いやあ、本当、よく頑張ったね。すごいよ。虹つかんだね」
言いながら大翔の座るベッドの前に座ると、「何回言ってくれるの」と彼は苦笑した。
「だって……大翔、もう大学諦めちゃうのかとも思ったから……」
また泣きそう、と口に手の甲を当てると、「だからなんで美紗が泣くの」と正論が返ってきた。
「わたし、今日は赤飯食べる」
「だからなんで美紗が――」
なんで美紗が食べるのだと言いたかったのであろう大翔の声を遮り、「大翔の喜びはわたしの喜び」と返す。
大翔はなにかを思い出したように「そうだ」と声を出した。
「美紗、卒業式はいつだったの? もう今日なら終わってるだろうと思ってさっき連絡したんだけど……」
「ああ、先週終わったよ。大翔の大学合格ではいくらでも泣けるのに、自分の卒業式では全く泣けなかった」
「おかしいでしょ」と言う大翔に、「わたしにとって大翔はそれほどの存在なんだよ」と笑い返す。
「いやあ、本当、よく頑張ったね。すごいよ。虹つかんだね」
言いながら大翔の座るベッドの前に座ると、「何回言ってくれるの」と彼は苦笑した。
「だって……大翔、もう大学諦めちゃうのかとも思ったから……」
また泣きそう、と口に手の甲を当てると、「だからなんで美紗が泣くの」と正論が返ってきた。
「わたし、今日は赤飯食べる」
「だからなんで美紗が――」
なんで美紗が食べるのだと言いたかったのであろう大翔の声を遮り、「大翔の喜びはわたしの喜び」と返す。
大翔はなにかを思い出したように「そうだ」と声を出した。
「美紗、卒業式はいつだったの? もう今日なら終わってるだろうと思ってさっき連絡したんだけど……」
「ああ、先週終わったよ。大翔の大学合格ではいくらでも泣けるのに、自分の卒業式では全く泣けなかった」
「おかしいでしょ」と言う大翔に、「わたしにとって大翔はそれほどの存在なんだよ」と笑い返す。



