ふと目を開けると、辺りが明るいことに気づくとともにドアを強く叩かれる音が飛び込んできた。

明らかに母親のものではなかった。

兄は家族がいるところでわたしに接触してくることはない。

となれば、考えられる可能性は一つ、父上様のご登場だ。


「うるせえなあ」

怒声にも近い声で起きていることを知らせる。

「お前、一体全体なにを考えているんだ?」

ドアを叩く音がやんだ直後、父親の声が聞こえてきた。

母親にも幾度となく言われた言葉だ。

娘がなにを考えているかなどそんなにも気になるものだろうかと思った。

「開けるぞ」という声の直後、部屋のドアが開けられた。

わたしは大袈裟に舌打ちをする。

ドアとは反対の方へ顔を向け、目元を腕で隠した。

「雄輔から聞いたぞ。『勉強をすることは恥ずかしいことだ』と思っているらしいな」

実際の言葉と少し変わっていたことに腹が立った。

自分の言葉を変えられることへの苛立ちには未だに慣れない。