大翔はまだ大学へ行くことを諦めたわけではない。
「でも君、大卒かあ……。どうせじゃわたし、自分と同じ中卒さんを救いたいんだよねえ……」
どうするか、と真面目に続ける。
「自分と同じっていうか、美紗は専門学校卒でしょ?」
「いやあ? わたしは中卒――なんなら小卒レベルよ?
確かにあと一年で専門学校を卒業するけど、高認から専門学校を卒業した他の人とは違い、真面目に勉強なんてしてないからね。
資格の取得なんて独学でいいと思ってたし、今もそう思ってるし。
正直、進級の課題めちゃくちゃ大変だったのね。で、それと闘いながらこんなことしないでも資格なんて取れるんじゃねって思っちゃったの」
わたしが言うと、大翔はなにかを考え込むように俯いた。
「……ね。専門学校卒業者の中にもこういうふざけたやつだっているのにね。
もしも大翔が最終的に大学進学を諦めたとしたら、大翔の学歴は中卒になる。
大翔みたいな中卒と、わたしみたいな専門学校卒。絶対に大翔の方がいい仕事をするのに、学歴重視の企業はきっとわたしを採用する。そもそもそんな企業じゃ、中卒は面接すら受けられない。
だからわたしは、人様を雇えるほどの店、会社にできたら、そこでは年齢も学歴も国籍も問わず、社会的弱者と呼ばれる人々を救いたい。
幼い子供がいる人には、家でもできるような簡単な作業を任せ、学歴はないけれど元気や愛嬌のある人には、接客や電話対応など、人と関わる仕事を任せる。
そして、定年を迎えた人や日本とは違う文化を持つ人には、ポップや広告、商品のデザインなんかを一緒に考えてもらったりする。
どんな人にだって、できることはいくらでもあるんだから。たとえ言葉が違ったり話せなかったりしても、考えや想いを形にしてくれれば伝わる。
本気でそう思ってるから、専門学校を卒業したらきっと会社を立ち上げ、今の時代が生きにくい人をそういった形で救うの」
大翔はふっと笑い、穏やかな笑顔を上げた。
「それだけの想いがあれば、美紗の会社、大きなものになるね」
なんだか真面目に語ってしまったのが恥ずかしくなり、「でっしょでしょお?」と思い切り明るく返した。
「ほら、わたしって天才だからさ」
「まあ、ただ反抗的なだけにも見えかねないけど」
わたしは顔の筋肉から力を抜き、ベッドに座る大翔を睨んだ。
「貴様、殴られたいのかい?」
大翔は「違う違う」と両手を振り、「失礼しました」と続けた。
「別にいいけど。そういう見られ方があることくらい百も承知だから。まあとにかく、本当に困ったらわたしんとこ来な」
「ありがとう。まあ、美紗の会社が本当に成功してたらの話だけどね」
わたしは再びふざけた声を出す喉を作った。
「この大馬鹿者め。なあにが悲しくておっぱじめる前から失敗することを考えるんだあ?」
あまりふざけたことをほざいておるとその小綺麗な顔をぶっ潰すぞ、と続け、小さく構えた拳を短く二度放った。
「でも君、大卒かあ……。どうせじゃわたし、自分と同じ中卒さんを救いたいんだよねえ……」
どうするか、と真面目に続ける。
「自分と同じっていうか、美紗は専門学校卒でしょ?」
「いやあ? わたしは中卒――なんなら小卒レベルよ?
確かにあと一年で専門学校を卒業するけど、高認から専門学校を卒業した他の人とは違い、真面目に勉強なんてしてないからね。
資格の取得なんて独学でいいと思ってたし、今もそう思ってるし。
正直、進級の課題めちゃくちゃ大変だったのね。で、それと闘いながらこんなことしないでも資格なんて取れるんじゃねって思っちゃったの」
わたしが言うと、大翔はなにかを考え込むように俯いた。
「……ね。専門学校卒業者の中にもこういうふざけたやつだっているのにね。
もしも大翔が最終的に大学進学を諦めたとしたら、大翔の学歴は中卒になる。
大翔みたいな中卒と、わたしみたいな専門学校卒。絶対に大翔の方がいい仕事をするのに、学歴重視の企業はきっとわたしを採用する。そもそもそんな企業じゃ、中卒は面接すら受けられない。
だからわたしは、人様を雇えるほどの店、会社にできたら、そこでは年齢も学歴も国籍も問わず、社会的弱者と呼ばれる人々を救いたい。
幼い子供がいる人には、家でもできるような簡単な作業を任せ、学歴はないけれど元気や愛嬌のある人には、接客や電話対応など、人と関わる仕事を任せる。
そして、定年を迎えた人や日本とは違う文化を持つ人には、ポップや広告、商品のデザインなんかを一緒に考えてもらったりする。
どんな人にだって、できることはいくらでもあるんだから。たとえ言葉が違ったり話せなかったりしても、考えや想いを形にしてくれれば伝わる。
本気でそう思ってるから、専門学校を卒業したらきっと会社を立ち上げ、今の時代が生きにくい人をそういった形で救うの」
大翔はふっと笑い、穏やかな笑顔を上げた。
「それだけの想いがあれば、美紗の会社、大きなものになるね」
なんだか真面目に語ってしまったのが恥ずかしくなり、「でっしょでしょお?」と思い切り明るく返した。
「ほら、わたしって天才だからさ」
「まあ、ただ反抗的なだけにも見えかねないけど」
わたしは顔の筋肉から力を抜き、ベッドに座る大翔を睨んだ。
「貴様、殴られたいのかい?」
大翔は「違う違う」と両手を振り、「失礼しました」と続けた。
「別にいいけど。そういう見られ方があることくらい百も承知だから。まあとにかく、本当に困ったらわたしんとこ来な」
「ありがとう。まあ、美紗の会社が本当に成功してたらの話だけどね」
わたしは再びふざけた声を出す喉を作った。
「この大馬鹿者め。なあにが悲しくておっぱじめる前から失敗することを考えるんだあ?」
あまりふざけたことをほざいておるとその小綺麗な顔をぶっ潰すぞ、と続け、小さく構えた拳を短く二度放った。



