涙に逢うまでさようなら

携帯がメールの受信を知らせたのは、三月に入って一週間ほどが経った頃だった。

放った清涼菓子を噛み砕きながら枕元の携帯に手を伸ばす。

変に横着したせいか、右肩の辺りを攣ったような痛みが襲った。

左手で肩を押さえながら受信したメールを確認する。

差出人は大翔だった。

本文を開くと、「予想的中」の文字のあとに黒い星が添えられていた。

五文字の短い本文を見た直後、心臓が痛みを伴いながら大きく跳ねた。

右肩の痛みは忘れ、体が冷えるような熱を帯びるような感覚に襲われる。

返信のフォームを開いたが、そこにどんな文字を並べるべきかわからなかった。

自分があれから間もなく合格の通知を受け取ったこともあるかもしれない。

指先が感覚を忘れかけた頃、両手で持つ携帯が再びメールの受信を告げた。

二件目の大翔からのメールには、「美紗はどうだった?」という文字が並んでいた。

「受かった」の一言を、微かに痺れているような感覚の指で送信する。

程なくして、「今から来てくれない?」という一言が返ってきた。

わたしが彼にできることは一つだと思った。

「了解」の二文字を送信すると、両手で顔を叩き、カーペットの上で丸まっている瑠璃色のパーカーを羽織った。