カップ麺のコーナーへ曲がった直後、カーキ色のプルオーバーを着た男とぶつかりそうになった。

ここまでくる途中にイヤホンを外した右耳に、「すみません」と男の声が聞こえる。

目線を上げた先の顔は、よく確認する前に去っていったが、わたしと同じくらいの年齢にも見えた。

一瞬、自分と同じくらいの年齢の人もいるのだなと思ったが、童顔な人なのだろうと思い直した。


目についたカップ麺を買い物かごに放っていく。

百円ショップで二百円しか消えなかった財布の中身は、小銭も残っており、まだ二万以上ある。

十食ほどのカップ麺を放り終えると、わたしは飲み物が並ぶ方へ向かった。

ミネラルウォーターは、二リットルのペットボトルを一箱購入した。

十二キロを上回る荷物を持って歩くわけにはいかないためレジを通ったら直帰することになるが致し方ない。