涙に逢うまでさようなら

大翔に誘われ、はじめましての日に二人同時に座ったベンチに腰掛けた。


「いやあ、まさか会えるとは」

「本当。貸し切り状態を邪魔した人物が大翔じゃなかったら殴りかかってたところ」

「そんな感じは一切しなかったけどね」

わたしはパーカーのフードを脱ぎ、ふうと息を吐いた。

「で、なんでわたしだとわかったの?」

大翔は「俺から声掛けると必ず訊かれる気がする」と漏らしたあと、「なんとなくだよ」と答えた。

「他に納得してもらえそうな理由をつけるとしたら……。パーカーが異常なまでに似合ってたことかな?」

「なにゆえわたしがその理由で納得すると思った」

瞬時に返すと、大翔は苦笑した。

「でも、美紗って素晴らしいほどにパーカー似合うよね」

「褒められてるのか、これは?」

「褒めてるとも」

わたしは大翔の声を聞きながら、前回着たときに入れたのであろう清涼菓子をポケットから出し、容器を振って出てきたものを口に放った。