涙に逢うまでさようなら

公園の景色は、少し懐かしいようにも感じた。

最後にきたのはいつだっただろうか。

出入口から少し歩いたところでイヤホンを外した。

聴こえてくる音楽と自分を包む空気があまりに違いすぎた。

そのうちオルゴールのアルバムでも買おうかと頭の片隅に考えつつ、イヤホンをプレーヤーと一緒にポケットへ突っ込む。

ベンチと常緑樹に囲まれた芝生の広がるグラウンドのような場所では、親子と思しき大人と幼い子供の姿がちらちらと見られた。


グラウンドの周りを何周か歩き、ベンチに腰掛けた。

少し先の芝生を眺め、わたしも変わったな、と改めて考える。


大翔に出逢って、わたしは大きく変わった。

いつか感じた、相手の体調が悪かろうとどうでもよかったのに心配できるようになったのはもちろん、空想の世界に逃げるだけではなくなった。

今は存在しない世界だが、それをいつか作り出すため、行動を起こすようになった。

少し前のわたしなら、世の中をひたすらに嫌い、目につくもの全てに反発していた。

そんな頃のわたしが今のわたしを見たら、なにをくだらないことをしているのだとでも言うのかもしれない。

どれだけ努力をしようとも願いなど叶わない、どれだけ努力をしようとも思い描いた世界になど生きられない、などとも言うかもしれない。

しかし、少し成長して大きくいろいろと変わったわたしは、自分のそんな言葉も受け入れられる。

そして、その頃と唯一変わらない思い描く世界をきっと実現させ、その頃の自分を黙らせる。

いつかの夢は家族を黙らせ、見返すことであったが、今の夢は少し違う。

家族を黙らせようとしていた自分を黙らせることだ。

当時の自分が黙れば、家族も黙る。

当時の自分ほど面倒のくさい人間は、恐らくこの世に存在しないからだ。