涙に逢うまでさようなら

シャワーを浴び、昨日と同じ服を着た。

トートバッグから教科書とノート、ペンケースを出し、財布を残した中に携帯を入れ、それを持って家を出た。

自転車に乗るのは何年振りだろうかと頭の片隅に考えつつ、自転車のロックを解除し、かごにトートバッグを入れるとほぼ同時にスタンドを上げる。

自転車にまたがると、一時間ほど漕ぐつもりでペダルを踏み込んだ。

ここから最も近い本屋は、自転車でおよそ一時間のところにある。

中途半端な田舎とはそういう場所だ。

徒歩大好きのわたしでも、自転車で一時間掛かるところまでは歩きたくない。


五教科を学ぶか好きなことを学ぶか――。

答えはすぐに出た。

大翔との関わりが絶たれるに近くなることはわたしらしくもなく少し寂しく思えるが、嫌いなことをしてまで彼といたいわけではない。

それに、相手が情報を変えなければ連絡が取れる。

友人以下でありながら最も特別な存在となった男がなにをしているか気になったら、メールでもすればいい。

あちらの都合がよければ、会うことだって可能だ。


少し勢いをつけて坂を下ると、心地よい風が湿った髪の毛をなびかせた。