涙に逢うまでさようなら

自室では、扇風機がひたすら空気を回していた。

トートバッグをおろすと同時にベッドへ倒れ込む。

土下座のような体勢になり丸めたタオルケットに顔をうずめれば、幼い子供のような声とともに涙が溢れた。

ひとしきり泣いたあとには、自分に対する激しい嫌悪感に襲われた。

正座を崩した形に体勢を変えると、右手は強く太ももを殴った。

自分に対してなにかを感じたのは、生まれてこの方初めてだった。

自分のことはいつも、好きでも嫌いでもなかった。

自分に魅力など全くないとは思っていたが、魅力的な部分を見つけようとしたりするほど綺麗な人間でもなかった。

他人と同程度どうでもよかった自分が、今は憎くて仕方がない。

誰か別の人間として生きられたならばどれだけ幸せだろうとすら思える。

自ら招いた困難を大袈裟に受け止める自分が憎いのだ。

理解はしている。

この現状を招いたのは数年前の自分であり、この状況から抜け出すためには何らかの勉強をしなくてはならない。

思考についてこない自分の一部が憎く、何度も太ももに拳を入れた。