「ねえ、明日はどうするの? それに、高校はどうするの? 就職だってあるんだし……。

まさか、その状態で就職できるだなんて思ってないわよね?」

聞いているのかという問いとともに、再びドアが叩かれた。

「関係ねえだろ」と叫ぶように返す。

同時に、ドアが叩かれる音は止んだ。

「関係なくはないでしょう? あなたは、わたしの娘なの。わたしは、あなたを想って言っているの」

別に生んでくれだなんて頼んでねえよと心の中で呟く。

むしろこんなところには生まれたくなかった。

「ねえ、お願いだからしっかりして。雄輔を見習って。

義務教育を終え、高校を卒業して大学へ行き、就職する。あなたにはなぜ、そんな当然のことができないの?」

母親の言葉の直後、わたしは枕を投げつけた。

ドアに当たりでかい音を響かせたあと、少し跳ね返った位置で枕は床に落ちた。

唇を噛み、自分の脚を拳で殴ると、母親が階段をおりていく音が聞こえた。