涙に逢うまでさようなら

赤いパーカーの呪いは、その後その日のうちに発動することはなかった。

今後二度と着るつもりはないため、もう赤いパーカーのせいで不幸に見舞われることはない。

チェストにパーカーをしまいながら、これを購入したのはいつだっただろうと考えた。

はっきりとは思い出せないが、恐らく、それまでずっと長かった髪の毛を今の形にした小学校四年生の頃だろう。

あの頃は確か、現状を変えたいという気持ちが強かった。

そのために髪の毛を切った。

自分らしくもない鮮やかな赤色のパーカーを購入したのも、現状を変えたいという気持ちが働いたのだろう。

なにかが普通でないときに購入したものは普通でないことを連れてくる――。

幼稚園の頃、友人が祖母に聞いたと言っていた。

友人の祖母がどういったつもりでそう語ったのかはわからないが、その言葉が的外れなものではない気がした。