「…リズ」
「えっ、は、はい!」
てっきり、連れている従者の方を呼んだのかと思っていた。
だから、私の名前が聞こえてきたときにはひどく驚き肩が飛び上がった。
「どこへ行く」
「え…、あ、あの。マナーのレッスンがありまして。昼食を兼ねているのですが」
「ああ…。お前はしっかり勉強した方がいいな」
初めのころ共に食事した時の事を思い出されのか、吹き出すように笑われた。
は、恥ずかしい…。
「頑張ります」
「ああ、しっかり励め」
「はい…」
そう言うとアルさまは歩いて行ってしまわれた。
一応、励ましてくださったんだろうか。
「リズさま、行きますよ」
「は、はい!」
ぼんやりとアルさまの背中を見送っているとキースさんに呼ばれ慌てて前を向いた。