冷酷な王さまは愛し方を知らない



そんな私を知ってか知らずか、シイナさまは可笑しそうにクスクスと笑った。
その笑い方さえも上品で思わず見入ってしまうほどだ。


「別に、責めてるとか、嫉妬とか、そうね…、闘争心とかじゃないの」

「え…」

「よかったって素直に思っているのよ」

「よかった…?」



いまいちその言葉の意味が理解できない。
よかったとは、なにに対してのよかったなのだろう。



「アルヴィンはとても不器用で天邪鬼な人だから。こんな風に誂えられても上手くやれないんじゃないかと思っていたの」

「え…?」

「でも、それは杞憂だった様ね」

「あの…」


私の困惑も気にしていないシイナさまはそれはそれは楽しそうに笑いながら話し続ける。
王族の方というのは皆こうなのだろうか。
アルさまも似たような雰囲気をお持ちだ。
こちらの思惑は知らぬふりで自分の想いを淡々と突き詰める。
こちらの戸惑いも困惑もそっちのけで。



「ここだけの話ね。私とアルヴィンは、幼なじみなの」

「え…?」



それは、本当に唐突な言葉だった。