「あ…、シイナさま」
アルさまとピクニックまがいのことをした中庭。
すっかりそこが気に入ってしまった私は、レッスンやアルさまの時間ではない空いた時間によく訪れている。
今日も時間を見つけてやってきたところで、先客を見つけた。
候補者の一人セルシー王国の王女シイナさま。
「あら、リズさま。同じ城の中にいるのにこうして話すのは初めてかしら」
「は、はい。あの…、様付けは慣れていないので普通に呼んでください」
「でも、今は同じ立場ですのよ?」
「そんな、同じだなんて…」
一国の国の王女と庶民の私。
同じわけがない。
こんな風に顔を合わせて話すなんて、とんでもないことだ。
「わかりました。じゃあ、リズさん」
「はい」
「アルヴィンとうまくいっているようね」
「え?うまく…?そんな、私は…」
シイナさまの言葉に私は慌てた。
そんなわけがない。
うまくなんてそんな事。
え、それより今、シイナさまアルさまの事アルヴィンと…?
一気に押し寄せた情報に混乱する。


