冷酷な王さまは愛し方を知らない



「…うまい」


そんなキースさんを尻目に、アルさまは咀嚼しながら端的にそう言った。
そう言ったアルさまを見て、キースさんはどこかホッとしたように息を吐いた。

もしかして。
毒でも入っていないかと心配されていたのだろうか。

それくらいの心配様だった。




「お前は食わんのか?」

「あ、はい。いただきます」



キースさんの様子に少し不安に思いながらも促されるまま一つ掴んで口に運ぶ。
相手は王族なのだ、過剰に心配してもし足りないほどなのかもしれない。

でも、やっぱり疑われてしまうというのはいい気がするものではなかった。



「ピクニックというのは、良くするのか」

「あ…、母の調子がよくこういった気候のいい時にはたまに…」

「そうか。俺は、初めてだ」

「え…?」



手に持っていたサンドウィッチを最後の一口まで口にほうりながらアルさまはそう言った。
初めて…?
でも、そういうものなのだろうか。