冷酷な王さまは愛し方を知らない



「お前が作ったのか…?」

「はい…。あの、仮にも候補者としてそんなことをするべきではないかと思ったのですが…。なにか楽しいことをしたくて」

「楽しいこと?」

「これまでは、ただ時間が過ぎるのを待っていただけだったので…。それではもったいないなと思って…」



バカ正直にこんな事を言って、気分を害されるかもしれない。
でも、嘘はつきたくなかった。



「ですが、ここでできることは限られているし、何ができるかって考えた時に…」

「それで、ピクニックというわけか?」

「はい…。今は気候も良く青空の下で食べる食事もいいかと…」



蓋を開き、少し躊躇いがちに差し出す。
アルさまはそれをまじまじと見降ろした後、中からサンドウィッチを取り出し迷いなく口に運んだ。



「アルさま!」



それに声をあげたのはキースさんだった。
その剣幕に私はギョッとしてしまい肩を揺らした。
なにか、いけなかっただろうか。