冷酷な王さまは愛し方を知らない



私がここまで心配する必要なんてないのかもしれない。
私はただ、巻き込まれたようなもの。

本人と、一番側にいる方がそう言っているのだから。
だから、いいのよね。



「失礼いたします。これより1時間開始させていただきます」




夕刻近くなって、キースさんがアルさまをお連れになった。
首元や手首いたるところに包帯が見える。
頬には大きなガーゼ。
痛々しい姿。



「よ、横におなりください!」

「…今日は疲れていない」

「そうではなくて、とても動いていいような怪我に見えません」




顔を青ざめ私は慌ててベッドを進めるけれど、アルさまは乗り気ではない。
私の番では最近ではもう私が言わなくてもベッドに横になって眠っていたのに。




「見た目ほど酷くはない」

「ですが…」

「俺がいいと言ってる。…お前の話を聞かせろ」

「え…?」



アルさまはドカッと椅子に座る。
私は戸惑いながらアルさまの前に在る椅子に座った。