「あの、ミリアさんはどうして王妃を目指されているんですか?」
「どうして?そんなの決まってるじゃない」
私の問いに、ミリアさんは何をバカなことを言っているのかというように肩を怒らせながら声を張る。
「王妃になれば今の生活から抜け出せる。地を這うような貧乏暮らしとおさらばできるのよ!あなただって同じでしょう?」
「私は…」
「そのためなら私はあの冷酷な王さまにだって跪くわ」
そこに愛はない。
そんなもの、ミリアさんは求めてはいないのだ。
そういうものなのだろうか。
結婚というものはとても神聖なものだと、愛し合う者同士のものなのだという私の考えの方がおかしいのだろうか。
「だから、私の足を引っ張ったら許さないから」
「そんな事、しません」
ミリアさんはそう言い切ると踵を返していってしまった。
この場所は、やっぱり居心地が悪い。
帰りたい……。


